コラム|道開きの香縁

お正月について(その1)

2023年12月18日 行事

お正月とは?

本来「お正月」は、1月の別名で、新年を迎える月のことを指します。 しかし、現在は、正月行事を行う期間のことを「お正月」と呼ぶことが多く、 三が日(1月1日~1月3日)や松の内  (1月1日~1月7日)、小正月(1月15日)の期間を指している場合がほとんどです。お正月といえば、今でこそ「家族で集まって新しい年を祝う行事」として認識されていますが、本来は、「年神様を自宅にお迎えする行事」です。年神様は、新年に家々を訪れ、五穀豊穣や家門繁栄をもたらすとされてきました。ですので、お正月飾りを飾ったり、年末に大掃除をしたりする年末年始の習慣は、年神様をお迎えするための準備です。

お正月飾りとは?

お正月飾りとは、お正月に家に来てくださる年神様をお迎えするための目印や依り代になる飾り物です。基本的には、門松・しめ飾り・鏡餅の3点が代表的なお正月飾りになります。

①門松

門松は、年神様を家にお迎えする際の目印や、家に邪気が入らないようにするための飾りです。名前の通り『松』が使われる門松ですが、常緑樹の松は生命力の象徴で、長寿を願う縁起物としての意味があります。また、松が『祀る』に通じることから神様を祀る木とされ、年神様を迎えるに相応しいという意味合いもあります。 門松には、松だけでなく、竹や梅が一緒に添えられているのが一般的です。従来は、 松だけを飾る『松飾り』でしたが、時代の流れとともに竹や梅が取り入れられるようになりました。成長が早く、真っ直ぐに伸びる竹は、長寿や繁栄を表し、梅は、新春に咲くことから、1年の始まりに相応しい縁起物として使われています。

②しめ飾り

しめ飾りは、神社などで見かけることも多い『しめ縄』を紙垂(しで)や裏白(うらじろ)やゆずり葉などで飾り付けたものです。【清められた神聖な場所です】ということを示して、年神様をお迎えするために飾ります。現世と神様の領域を区分けする結界のような役割を果たす飾りでもあるので、門松と同様に玄関などの家の入り口に飾るのが一般的です。下をくぐって神域に入るという考え方から、少し高い位置に飾るようにしましょう。

③鏡餅

鏡餅は、丸いお餅で神事に使う鏡を表現していて、家に来てくださる神様が宿る依り代になる飾りです。鏡を表現しているのに形が丸いのは、三種の神器の一つ 『八咫鏡(やたのかがみ)』の形状に由来します。鏡餅は通常、大小のお餅が二段重ねになっていますが、これは『円満に年を重ねる』という意味が込められています。 また、大小2つのお餅は陰と陽、太陽と月を表現しています。お餅の上に乗っている橙(だいだい)は『代々』子孫が繁栄しますようにという意味を持ちます。

【裏白(うらじろ)】

裏白とは、植物のシダのことです。名前の通り、葉の裏が白く、その見た目から正常な心を表すとされていたり、葉が左右対称なことから夫婦円満の象徴と考えられたりしています。

【紙垂(しで)】

しめ縄に付いている白い紙のことで、神聖な場所を区切る意味合いを持っています。

【ゆずり葉】

植物の葉は、古いものが落ちても新しい葉っぱが生えてきます。このことから 『家督を譲る』に繋がり、子孫繁栄を願う意味を持ちます。

お正月飾りは、12月13日の『正月事始め』以降でしたら、基本的にはいつ飾っても問題ないとされています。正月事始めとは、年神様をお迎えするための準備を始める日で、この日に行う大掃除を【すす祓い】と呼びます。しかし近年は、 12月26日以降に飾り始めるのが一般的です。特に末広がりの『八』が入っていて縁起が良い12月28日やキリが良い12月30日に飾るのがオススメです。 ただし、『二重苦』に繋がる12月29日や葬儀と同じ『一夜飾り』となってしまう12月31日の大晦日に飾るのは避けましょう。

※ちなみに2023年は、12月28日(木)が良い日です。ただし、『友引』ですので、午前11時~午後13時の間に飾るのは避けて下さい!!

【ぜひ参考にしてみてください】

門松やしめ飾りは、『松の内』と呼ばれる期間内は飾りましょう。松の内とは、正月事始めから年神様がお帰りになるまでの期間を指します。松の内の終わりの時期は地方で異なります。関東地方は1月7日、関西地方は1月15日です。

鏡餅は、お正月飾り同様、関東地方は1月7日にお下げして、鏡開きの日である1月11日に、おしるこやお雑煮にして頂きます。

※関西地方は、1月15日にお下げして、15日、又は20日が鏡開きの日になるので、その日におしるこやお雑煮にして頂きます。

松の内を過ぎて片付けたお正月飾りは、神社に奉納するか、神社や地域によっては、1月中旬頃に『どんどん焼き』、『どんど焼き』、『左義長(さぎちょう)』と呼ばれる火祭りを行っています。そこでお焚き上げをして頂くのが正しい納め方です。

お正月飾りの使い回しは、神様に失礼に当たるのでやめましょう!!

2024年【どんど焼き・どんどん焼き・左義長】

静岡県・愛知県・神奈川県

        静岡県

小國神社・・・1月21日(日)【どんど焼き】

三嶋大社・・・1月15日(月)【どんどん焼き・左義長】

        愛知県

真清田神社・・・1月15日(月)【どんど焼き・左義長】

大神神社・・・1月9日(火)【左義長】

        神奈川県

氷川神社・・・1月14日(日)【古神札焼納祭】

鶴岡八幡宮・・・1月15日(月)【左義長】

※どんど焼きは、神様に感謝し、お見送りするための日本の伝統行事です。どんど焼きの意味を理解し、 ぜひ参加してみてください。